第25回開催レポート

TOP月例会第25回開催レポート

開催日時

2024年09月09日(月)18時〜21時

場所

シソーラス株式会社 DXセンター

プレゼンテーター

テーマ

「インフラと先進技術の社会実装について」

参加人数

38名

今回は、長野県建設部長 新田恭士氏をお迎えし、「インフラと先進技術の社会実装について」をテーマにお話しいただきました。

新田氏は、問題意識の無いところに解決策は存在しないと話され、現在の社会インフラ整備において、人口減少と担い手不足、気候変動と災害の頻発化、遅れるインフラ整備と老朽化が問題であると仰っていました。特に、災害の多い日本では、地震に対する耐震対策への意識が低い点が問題なのだそう。

長野県が管理する3200橋ほどの橋のうち壊れている橋の割合は29%であり、全国平均の8%と比べると長野県は日本の中でも水準が悪いことが分かります。しかし、これほど橋の損傷率が高い理由は、厳しい点検を行い、見落としが少ないからなのだそうです。

この橋の点検は、現在、近接目視点検という危険かつ時間のかかる方法で点検しています。橋脚1本の点検は1日で終わらない程であり、コストもかなりかかってしまうそうです。

そこで新田氏は、点検にドローンを用い、AIによる損傷の検出を行うことで、コストパフォーマンスを良くすることが出来るのではないかと述べていました。橋の損傷は建設年数に関わらずあり、前回の点検で安全が確認された橋でも、そのうち13%は、次の点検時に損傷しているのだそうです。
また、鉄橋とコンクリート橋では、損傷の割合が違い、5年ごとの点検の間に損傷する橋の数が、コンクリート橋は10橋に1橋であるのに対し、鉄橋は4橋に1橋が損傷してしまうとのこと。

橋の損傷割合が明白であり、多くの点検と修繕が必要であることも確かな今、長野県の建設部でも先進技術を積極的に活用していくべきであると話されました。また、ドローンを使う事の利点として、ドローンを使用して撮影した写真をもとに、3Dモデルの作成も可能なのだそうです。これまで、点検時のレポートとして作成していた平面図に比べ、3Dモデルの作成は時間もコストも抑えられるうえ、損傷の記録や確認も容易にできるとお話されていました。更に、長野県は重要伝統的建造物群保存地区が多いという特徴があります。
しかし、耐震や防災への意識が低く、耐震・防災対策がされていないことが問題であると話されました。

今後は、耐震診断を行い、耐震改修まで行うことが課題であると仰っていました。新田氏は、次に災害を受けるのは長野県だと思って対策をしなければならないとお話しされました。災害に対する問題意識をしっかりと持ち、先進技術の積極的な活用で時間とコストを抑え、スピーディーな対応を取っていきたいとのことです。