第18回開催レポート

TOP月例会第18回開催レポート

開催日時

2024年01月15日(月)18時〜21時

場所

シソーラス株式会社長野DXセンター

プレゼンテーター

テーマ

「ゼミナール×居場所づくり~『まちかど図書館ぼたん』について~」

「長野移住・ワインづくりを通して見えた中山間地の課題とこれから」

今回は、長野県立大学築山ゼミ 佐賀涼輔氏、千野祐里奈氏と、ソムリエ/ワイン醸造家のソン・ユガン/Yookwang Song(宋裕光)氏をお迎えし、2024年初めての月例会でした。

はじめに、長野県立大学築山ゼミ 佐賀涼輔氏と千野祐里奈氏に築山ゼミで行っている活動についてお話しいただきました。

築山ゼミの皆さんは、持続可能な地域社会をどう作るかというテーマの元、研究を行っています。今回は、研究活動のひとつである、空き家を活用した地域の居場所づくりのプロジェクトについてご紹介いただきました。

活動の拠点となる空き家は、長野市北石堂町にある旧「ボタンのいとう」という元ボタン・手芸用品店で、現在は「まちかど図書館ぼたん」として、地域の人が交流できる居場所づくりをしているとのこと。

築山ゼミと株式会社まちづくり長野、ナノグラフィカが手を組み、長野駅と善光寺の中継地点となる北石堂町エリアを寂しい場所にしたくない、という想いからこのプロジェクトが始動したそうです。

図書館としては、一箱本棚オーナー制を採用し、一定期間本棚のオーナーが図書館に自分の本棚を持ち、好きな本を並べることが出来るそうです。

千野氏は、まちかど図書館ぼたんが北石堂町の中心となり、地域の情報発信ができたり、色々な人が繋がれる場所にしていきたいとお話されました。

佐賀氏は、空き家が地域の人の居場所となり、プロジェクトがこの活動に関わる人の居場所になってほしいと話されていました。また、ゼミとしてプロジェクトに関わる意義について、様々な方向性の人が自分の役割を持つことで、プロジェクトが良い居場所になるのではないかと仰っていました。

今後は、廃材など今ある物の活用方法の検討や、本棚のオーナーの募集など、図書館の運営に向けて活動していく中で、地域の人を巻き込んだ図書館づくりを行っていきたいとお話されました。

後半は、ソムリエ/ワイン醸造家のソン・ユガン氏に、長野市浅川地区でのワインブドウの栽培についてお話しいただきました。

ブドウの栽培とワインづくりのきっかけは、ご自身がワインが好きだからだと仰っていました。

また、オーストラリアのワイナリーで働いていた際、ワイナリーのご夫婦がオーガニックでブドウを栽培し、自給自足をしながら生活していた姿に憧れ、豊かな自然の中で暮らしながらワインづくりをする生活を構想し始めたと話されていました。

オーストラリアから帰国後、東京でソムリエとして働きながら目指す生活のための移住先を調査する中で、候補地であった長野県北部で長野市地域おこし協力隊の募集があり、ブドウ畑の開墾と栽培という任務があったことから、地域おこし協力隊として長野市への移住を決めたそうです。

ブドウの栽培地は浅川ダム建設時の土砂で埋め立てた土地であったため、試行錯誤の末、土壌改良のために一度植えたブドウの苗を掘り起こし、土を入れ替えもう一度植え戻す作業を行ったと話されました。

2019年の植樹から順調に生育し、2022年に初収穫、600本のワインの醸造が出来たと仰っていました。

ソン氏は、ブドウの苗は一つ一つ人の手によって植樹していったため、非常に厳しい作業であったが、初めて実が生った時は涙が出るほど嬉しかったと振り返っていました。

また、少子化や農業者の減少、農地の衰退や空き家の増加など、暮らす中で見つけた長野市浅川地区の課題もあるとお話されました。現在は、浅川地区にワイナリーをつくり、おいしいワインの産地であることの周知を目指しているそうです。今後、課題解決のために、ブドウの栽培やワインづくりを志す人を集め、長野市を活性化させていきたいと話されました。