2019.12.24

「地域共創ラボ」レポート#3 |
Stage-1 第3回 –「地域とリスク(災害)」の未来 –

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地域共創ラボ Stage-1 最終回。危機管理のプロフェッショナルである浅野氏に、フィールドワークやゲームを交えながら、リスクや危機への対処について考えました。ワークショップのクロージングでは総合プロデューサー渋谷氏とのパネルセッションを行い、地方創生と危機管理の関係についてディスカッションしました。

危機を経験する前に対処の検討を!ただし能力の限界を自覚して!

一般的に経験のない危機に対する対処は後手になりがちです。危機が起こる前にリスクを洗い出し、対処を検討するのが危機管理です。しかし、全てのリスクに対して自分の力で対処しようとするのは誤りです。まず能力の限界を自覚すること、それは弱気や弱音ではありません。冷静な自己分析が危機管理には欠かせないのです。

守るべきものが明確になれば対処も見えてくる

例えばレスキューの現場において、最も守るべきものはレスキュー隊員の安全です。被災者1名を2名にしない判断が常に行われています。防災セットの中身一つとってもそう、個人で守るべき安全が明確になれば、準備する物も自ずと見えてくるのです。それは法人、自治体においても同様なのです。

リスクへの対処は戦略、戦術、戦技の観点から

何を守るか(戦略)、そのために何をすべきか(戦術)、それを実行するために必要なスキルは何か(戦技)、これらの観点で対処を検討しなければなりません。とかく戦略と戦術は混同されがちで、さらに戦技は曖昧であることが多いです。これらが整理されていないと、想定外の危機が発生した際に混乱が生じてしまうのは目に見えています。

視野を広げ、客観的な事実にフォーカスして正しく情報を収集しよう

ここでチームに分かれ、一枚の桃太郎の絵から情報収拾を試みました。講師から「皆で同じ場所を見ても得られる情報は少ない」というアドバイスを受け、各チームは工夫して幅広く情報を収拾し始めました。

その後、長野市の地域毎のハザードマップを床に広げ、長野市の形に並べました。すると、一地域では安全と思われても、隣接する周辺地域には危険な場所があることがわかりました。避難所だから安全と即断するのではなく、周辺地域も含め、客観的な視点から安全を確保する必要があることを知りました。

続いてフィールドワーク。3チームに分かれ、会場周辺を散策しました。視野を左右、上下に振り、街を観察。大通りを一歩入ると景色は一変します。密集した住宅店舗、電柱が傾けば接地しそう電線、延焼しやすいアーケード、消火栓が無いなど、災害時に危険な箇所がいくつもあることがわかりました。

危機対処はそもそも判断が難しい局面である

最後に危機対応ゲーム。企業の管理部社員の設定で危機への対処を体験しました。圧倒的に情報が不足する中、地震、重症の怪我人、火災など次から次へと危機が訪れ、その中で判断を仰がれます。そのような状況に一同大混乱。しかし講師は「実際の危機は似たような状況です。」と言います。このゲームを通して事前の危機管理の重要さ、並びに、危機対処の難しさを痛感しました。

地方創生の取り組みは東京一極集中というリスクへの対処

最後に、地域共創ラボ総合プロデューサーの渋谷氏とのパネルディスカッションを実施。現在の日本は指示系統や経済活動が東京に集中してしまっていること、そのために東京で大災害が起きた時に、日本全土に影響が出てしまうことが指摘されました。地方創生の目的の一つは、地方の経済活動を底上げし、人口・指示系統の分散を図る事で、日本全体を危機に強い、持続可能な国家を成し遂げる事です。「地域共創ラボ」は正にその戦略を実現する戦術なのです。

真鍋 薫子さんによるグラフィックレコーディング

以上で「地域共創ラボ」ステージ1は終了しました。参加してくださった皆様には感謝申し上げます。ステージ1で取り上げた「仕事」「お金」「リスク」は地域創生に不可欠な要素です。皆様ご自身の取り組みは、これらの要素のいずれかに必ず関わっているはずです。地域の発展に向けて、共に考え、共に創りましょう。ステージ2についても、ご興味ある方は参加をご検討ください。

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